海外ほどではないですが、日本でも国・自治体・NPO法人などに対する寄附はよく行われます。
基本的に寄附金は相手のやっている活動を応援する意味で出していますから、見返りを求める性質のものではありません。
しかし、自分のためではなく社会のために資産を使うと言う行為ですから、寄附金控除を受けられます。
寄附金控除の対象について
寄附をすれば誰でも利用できる制度なのかというと、対象となる相手が決まっています。
まず国または地方公共団体への寄附で、見返りがある場合や学校に入学するときの寄附は除いて適用されます。
それから公益社団法人や日本ユニセフなどの公益財団法人のように公益を目的とした法人・団体への寄附では、財務大臣の指定を受け、広く募集されており公益のため緊急で必要な支出に使われるものが該当します。
独立行政法人など社会福祉や公益に役立つとされると指定されている法人への寄附も、控除の対象です。
他には特定公益信託の信託財産とするための支出や認定NPO法人、政党や政治資金団体などの政治活動のための支出、特定新規中小会社が発行した株式の取得に費やした費用もここでは対象になります。
自分で確定申告をしないと控除は行われない
これらの相手に行った寄附は特定寄附金として扱われ、控除が行われますがふるさと納税のワンストップ特例制度など一部の例外を除いては、自分で確定申告をしないと控除は行われません。
ですから普段は給与所得で税金のことを会社に任せているサラリーマンも、自分で手続きをする必要があります。
ならば確定申告をするときに、どういう計算を行うのかというと次のとおりです。
前提として、通常の所得税や住民税の対象となる所得は、基礎控除・基礎控除・扶養控除等をすべて差し引いてから計算をします。
この控除を考慮した所得が課税総所得です。
寄附金控除は通常の課税総所得を更に減らせるので、支払う税金が減りその分が還付されると言う仕組みになっています。
所得控除と税額控除の2種類
寄附金控除といっても、支払った寄附金がそのまま控除額になるわけではありません。
計算式として所得控除と税額控除の2種類があります。
所得控除では対象の年に行った寄附金の合計額から2000円を差し引いた金額が、控除額として認められます。
さらに寄附金の合計額には上限が設定されており、所得金額の40%までしか計算されません。
一方で税額控除(寄附金特別控除)の場合には、寄附金の合計額から2000円を差し引くところまでは同じですが、寄附をした相手に合わせて一定の割合を掛けます。
税額控除ができるのは、特定寄附金のうち政党等寄附金、認定NPO法人等寄附金、公益社団法人寄附金をした場合です。
政党等寄附金では寄附金の合計額から2千円を差し引き30%を掛けた金額、認定NPO法人等寄附金と公益社団法人等寄附金については掛ける割合を変えて40%で計算した金額が控除額になります。
こちらの上限は所得税額の25%までです。
控除が行われるタイミングについて
所得控除と税額控除では、控除が行われるタイミングが変わります。
どちらのやり方でもできる場合には、どうすれば得になるのかというと、課税所得額によって変わります。
所得税は課税総所得金額によって税率が決まりますが、認定NPP法人や公益社団法人に寄附をした時に使われる40%を税率で超えるのは課税総所得が4000万円超の人です。
税額控除にも上限があっても、それを超えるのはかなりの収入がなければ難しいです。
なので課税総所得が4000万円以下であれば所得税控除を選んだほうが良く、それを超えるなら所得控除を選んだほうが良いです。
ただし、寄附金額によっては、上限を超えてしまったり、控除される金額が少ないということもありますから、その点に注意をして計算をしなければいけません。
寄附金控除を受けるための手続き
それでは、寄附金控除を受けるためにどういう手続きが必要なのかというと、前述のようにふるさと納税についてはワンストップ特例制度が使えます。
ですから寄附をするときに給与の支払いや寄附をした数などの条件を満たし制度を利用すると選択すれば、所得税の確定申告をする必要がなくなります。
ふるさと納税で寄附金控除を申し込むときにはマイナンバーカードを持っていれば、スマートフォンから書類の提出が可能です。
アプリの入力欄に源泉徴収票や寄附金控除などを入力していき、本人情報やマイナンバーを入力して送信すれば申告ができます。
紙での申請をしたいときには、そのデータを家庭のプリンターやコンビニで印刷をして税務署に提出します。
まとめ
申告をした後は、内容に問題がなければ1ヶ月から2ヶ月くらい経ってから指定の口座に振り込まれます。
電子申告をする場合には、もう少し還付のタイミングが早まります。
ここで振り込まれる口座ですが、ネット専用銀行は基本的に使えません。
最終更新日 2025年2月19日 by sngroup