産業医は企業の中で従業員の健康を守るために様々な施策を行う中心的な立場となる人のことです。
基本的には医師の資格を持っている人がなると言うイメージがありますが、実際には通常の医師とはその業務内容が異なるため、特殊な資格を所有しなければならない事はあまり知られていません。
むしろ通常の医師の業務に比べて勤務時間が短いことなどから、働きやすい仕事だと考えている人も多いのですが、実際には一般的な医師に比べ高いスキルと意識を持っていないとできない仕事でもあるのです。
その主な仕事は従業員が安全に働くことができるための健康管理であり、またそのための職場の安全衛生管理も重要な仕事となっています。
参考リンク:産業医 紹介
産業医の資格について
一般的に健康診断やその他の健康増進の施策を決定することが重要な職務と考えられている面もありますが、その他にも毎月1回以上の職場巡視や、労働者の健康相談、また作業環境による健康リスクの評価なども重要な仕事となっているのです。
作業環境による健康リスクの評価は仕事内容に影響を及ぼすことから、企業の業務の進め方にも従業員の健康を守る立場から様々なアドバイスを行う立場となっているばかりでなく、必要に応じて勧告を行うことができる強い立場も持っています。
このような一般の医師とは全く異なる業務となるため、実際にはこの職種になるには資格の取得を必要とします。
様々な病気の判断を行うなどの知識も必要となるため、まず医師の資格を持っていなければなりませんが、その他にも厚生労働大臣が認定する日本医師会や産業医科大学が実施する所定の研修を修了していることや、所定の大学の産業医の養成課程を卒業して入ること、あるいは労働衛生コンサルタントの保健衛生区分に合格していることなどが条件となります。
その他、厚生労働大臣が所定の仕組みの上で認めている人に関してもこれらの資格を取得したのと同等の扱いになりますが、実際には専門の研修を修了するか労働衛生コンサルタント試験に合格した人がその資格を持っていると判断されることが少なくありません。
企業の従業員の問題点
企業の従業員の健康管理は一見非常に簡単なものと考えられるのですが、実際には非常に複雑なものとなっているのが実態です。
企業はあくまでも利益を追求し社会に貢献すると言う目的を持っているため、従業員に対しできるだけ効率よく働くことを要求しがちです。
そのため1人にかかる負担が大きくなりがちな傾向があり、精神的な部分や肉体的な部分で健康に大きな影響を及ぼしてしまうケースも多いのです。
このような事態に至る前に事前に様々な労働環境を把握し判断して、必要に応じて適正な是正措置を行うことが非常に重要な項目となっており、場合によってはその労働時間を制限する進言を行ったり、具体的に勧告を行うこともできるため非常に重要な役割を担っている立場となります。
特に最近では肉体的な労働時間に関する負担やその条件の問題の他に、精神的な問題を抱える企業が非常に増える傾向にあります。
そのため、政府レベルでもこの問題を非常に重要と捉えており、一定の人数以上が勤務する事業所に対してはこの精神的な負担を緩和するとともにその実態を把握するメンタルヘルスの管理に関するガイドラインが制定されることになりました。
産業医は通常の医師に比べ労働時間が決められている
そのため、該当する事業所に勤務している従業員は定期的に面接を受けることが必要となっており、その結果を企業が取りまとめて厚生労働省に提出をしなければいけない仕組みも成立しています。
これらの管理も行わなければならないことから、実際には近年非常に負担が大きくなっているのが実態です。
ただし産業医は通常の医師に比べ労働時間が決められており、また企業の休日カレンダーに従って勤務を行うため比較的自分の時間が取りやすい仕事であると考える場合も少なくありません。
しかし実際には専属でこの仕事を行っている医師は非常に少なく、自ら開業医を行っていたり病院に勤務をしながら行っていると言う人も多いのが実態です。
最近では企業側も常に常駐をする形ではなく、定期的に週何回かの勤務の契約で雇用することが多くなっており、他の日は自らの病院で患者の診察を行う医師も少なくありません。
多くの企業ではこの部分にかかるコストを極力削減しようと考えている面もあり、また実際に法律で常駐しなければいけないことが定められていないため、コスト削減のために週2日や3日といった勤務体系で契約を行っているところが増えているのが実態です。
コスト削減のために週2日や3日といった勤務体系で契約を行っているところが増えているのが実態です。
そのため企業の仕事だけでは十分な収入を得ることができなくなっているケースも多いため、自ら一般の医師としての業務をすることで生計を立てていると言う山よりも少なくありません。
法律上はアルバイトなどは禁止されているのですが、実態は様々な前提条件を持ってこれを行っていることが多いため、実際には産業医の実態は非常に厳しいものとなっているのです。
最終更新日 2025年2月19日 by sngroup